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tajkeyさんの公開日記
08月30日
01:53
調声師さん絶賛大募集中『ボカロで第九をやっちゃおう』企画
UTAUでの参加をご検討中の方々への情報提供公開日記その4。

(前)
(次)『ボカ九』企画 UTAUシンガーへ5 (補足とか質疑応答とか)
   ※タイトルは予定。何か書くことが出現すれば続きます。※

第4回 どいちゅ語でUTAわせる

4 第九をUTAわせる

今回は、第九の合唱パートのごく一部について、歌詞入れからプロトタイプの音までを晒します。
場所は、289〜330小節。テーマ提示部の最後です。合唱ソプラノが初めて声を出すところ。音的には、曲に声が入ったあとの第一のピークに向かうところですね。

前回と同じく、前置き。今回晒す方法が全てではありませんし、誰にとってもベストな方法でもないでしょう。私はこの方法を取ることが多いってだけです。何かしらヒントを持ってってもらうなり、バカやってらあと笑っていただくなり、そんな感じで、どうぞ。

ま、お気楽に始めましょう。

※参考USTと音声について。
今回は音声も参考に供しますが、UTAUの出音ほぼそのまま(wav→mp3のみ実施)です。私の方法ではこの段階ではほぼスッピン。(理由は前回の前置きにあります)お聞き苦しい点があると思います。作成の途中経過、ということで予めご了承をいただきます。

4-1 歌詞入れ1…まずは呪文を唱える

こちらがその呪文。
(0'13"〜0'43"の無音区間は、ソロパート歌唱の区間です。以下同じ)


なんのこっちゃ、ですが、これ、そのノートについている歌詞の中心となる音を拾ったものです。
これが最初のステップです。単独音でも連続音でも。


なんでこんなことをするか? みなさんご存じの英語の例で説明します。

例えばstreet(道・街路)って単語を歌ってるとします。洋楽を初めて聴くときなんか、これ、「リー」しか聞こえないって、ありますよね。少なくとも、仮名表記の「ストリート」のように3つも4つも音が聴こえることはない。1つのノートにこれが乗ってる。この「リー」が中心の音。声として響く母音とその直前の子音。それを取って並べようってことです。私は楽譜から拾いますが、もちろん実演奏から聞こえるように取ってもいいです。というか、その方が正道かな。小川Pの講座(発音)も参考になります。
1ノートに1つの音。まずは、楽譜の形(紙に書かれたリズム、ですね)をそのままに、ってわけです。

もちろん、この中心の音の前後にさらに子音がくっついて単語の音(の一部)になっていくわけですが、それは次のステップで。ここで多重母音とか「ん」につながる音とかも、カタマリなので入れておきたいところですが、合成系がそういうシステムではない。ガマン。ホントは複合子音もカタマリで欲しいよね。

(蛇足)ドイツ語では歌詞から音符に対応する中心の音を取ってくるのは、それほど難しくはありません。
英語だと語尾に発音しない母音字が来ることがあります(makeとかloveとか)が、ドイツ語にはこれは基本的にはなし。語尾の母音も発音されます。さらに、楽譜では歌詞は音符ごとに単語を-(ハイフン)で(大体)区切って書いてある。わかりやすいですね。


中心の音は1つの子音-母音のつながりですから、UTAUであれば五十音持ちの子ならまあ、大体入れていけるでしょう。母音や一部子音は当然近いのを入れていく前提ですが。「ヴぁ(ドイツ語綴でwa)」とか出てきたら、「ば」にするか、あとで濁らす前提で「わ」を使うか、その辺りはシンガーさんに合わせて選択を楽しんで下さい。「ヴぁ行」「ずぃ」「でぃ」あたりを持ってる子だとかなり楽できますね。

ちなみに今回の範囲で、テトが持ってなかった音は(ウムラウト母音を別にすれば)「ヴ(vu)」1つだけでした。ヴぁ行はあるのに。ソーセージ(Wurst)が食えないじゃないか。…はともかく、これは子音いれるときに別のヴぁ行音と「う」を合成して対応しました。

歌詞(中心音)入れ終わったら、最初の調整。
連続音使いの人はここで歌詞を変換。プラグイン使うなり、レジスト特典の自動連続音機能なり使ってさくさく進めましょう。
基本的なポルタメントもここで付けます。あとで入れていくのは基本的に子音ですので、ピッチに関係ないです。UST上のノートが楽譜通りの形である間に動きをつけた方がおかしなことになりにくい。この段階で基本線を。「おま☆かせ」でも。

そして聴いてみる。呪文のようですが、一部に朧ろげながら形が見えつつある。これが歌の骨格になります。この形を聴きのがさいで。後処理(音量のばらつき、音の差し替え、ノイズ取りなど)がどの程度必要か、並行して考えながら聴くのもいいですね。

<音節(シラブル)、音節と音符の関係をご存じの方はスキップ>
改めて五線譜の方を見てみましょう、音符1つに単語の一語全部か、一部が乗っています。
ざっと見、母音の1つ以上の連続の前後に子音が0以上任意の個数でくっついてる。
これが一カタマリの発音単位。音節(シラブル)です。歌の場合、音符1つにこれが対応します。

先ほど例に上げた英単語、street(道・街路)って単語。分解しましょう。子音の連続 str + 母音の2連荘ee(発音 i:) + 尻尾の子音 t。これで一カタマリです。だから英語曲ではこれを1つの音符に乗せます。日本語カナ表記だと、す・と・りー・と、とかに分けられて4つ以上の音符になりますが、英語なら芯になる音「リー」一発なのは何となくお分かりかと。

歌ものにおける歌詞は、いくつかの「意味のある句」の連なり。(これはしばしばフレーズ(音楽上の)に対応します。その句は「単語(ワード)」から成り、そして単語を発音のカタマリごとに分けたものが「音節」。楽譜上では、その「音節」が1つ1つの音符に対応していく。こんな風にざっくり理解しておけば、とりあえずの用は足りるでしょう。

<ここまで音節の解説>

4-2 歌詞入れ2…子音とか、区切りとか

子音とか、二重母音や「ん」につながる母音とか。処理していきます。ここは、シラブルとか単語〜短いフレーズくらいの単位をそれらしく聴けるようにするステップになります。



このステップでは、必要に応じてノートを分割しますが、先のステップでみた「1音」のカタマリの感じを忘れないようにしましょう。

子音を置くとき。短い音を作ってそこに必要な子音を含む音素片を配置。あとはエンベロープで母音を消すのが基本です。
複合子音を作るために先頭に前出しで追加するときは、シンガーの持つ子音の長さに合わせて。続く音が有声子音のときは少し母音が残っても構いません。
音節末の子音は、他のシンガーと離れたくないですね、合唱指導の小川PのVSQXを見てみると、子音1つの場合、このあたりのテンポで大体16分音符くらいの長さで、4分音符なら基本音3:子音1くらいの位置に子音を置いているようなので、それに合わせましょう。

二重母音や「ん」につながる音は、単独音では普通に音を2つ並べて調声してください。
連続音の場合、クロスフェードで効果的に対応できることがあります。例えば、接続詞und(仮名表記でウント。英語のand)は「- う」「n と」の2音素を置いて。聴いてみて必要があれば、クロスフェード開始ポイントをエンベロープで調整。固定点も移動できるタイプの拡張エンベロープエディタプラグインは、たまさかシンガーが頑固なときに便利です。
(UTAUはユーザの介入を結構、許容する。そこは使い易いと感じます)

1フレーズの中の単語と単語の切れ目も作りましょう。つながり過ぎだな、と感じたら、小さな休符をはさんだり、エンベロープをちょっと弄って切ります。ボカロ(V2以降)で無音記号Silを突っ込むような感じ。ボカロの方法論も翻訳すればUTAUで使えるものがあります。



ここで「よくあること」。子音だけほしいとかで、ごく短い音を入れるとき、エディタ上にエラーを示す!マークが出ることがあります。下さい。ほとんどの場合、エンベロープ設定に不整合が出ています。デフォルトのエンベロープ設定では音の長さが足りず、入りきらない場合が多い。特に連続音では前後の糊代が長い分、素片も長いので出現しやすいですね。慌てず騒がずエンべロープエディタを開いて調整。「正規化」ボタンで順序を整合させてやればいいのですが、効かない場合はどれかのポイントをちょっと移動させてやると手動調整可能な形になることが多いです。

部分再生したり、波形(実エンベロープ)表示を観察したりして、いい感じに発音するように調整してあげてください。

これを一通りやったら、通して聴きます。出音はこちら↓。

どいちゅ語らしくなってきました。このあたりが、ウチ基準ではプロトタイプですね。

あとは、重ねてノイズになった角を削ったり、ミクナールPの仮オケと合わせたり、小川P配布mのミクさん(mp3)と合わせて位置調整してみたり、ソロで歌わせたり。ひたすら聴いては調整して、を何周かして、形にしていく。
ここから先は方法もツールも人様々。私はここでDAWに持ち込んで、必要に応じてUTAUエディタに戻る感じ。リリース直前までUTAUエディタで追い込む方もいらっしゃるでしょう。お好みの方法で仕上げてください。

(初心者・初挑戦の方へ)
ご覧の通り、子音入れは結構手間のかかる作業です。今回のような多人数コラボ合唱に限りますが、初心者は「口パク」、先輩任せにしてサボる手もあります。ただし、その場合でも次の2つはお願いします。
・本来子音の入る場所は母音を切って。母音が被ると他のシンガーが出してる子音が消えちゃう。
・二重母音や「ん」関係、単語の区切りは入れて下さい。こっちはそんなに難しくない。

4-3 長音(メリスマ)のUTAわせかた

メリスマ、ここでは音を継目なしで伸ばしつつ音高が変わる歌唱法をいいます。長音(ー)。

例えば日本の唱歌「はーるのおがわは……」の頭、「はー」と伸ばしている間に、高さは「ミソ」と変わる。こんなのがメリスマです。いくつもの小節にかかるような音符の多いのはアリアとかで声の聴かせどころですが、2音でもつながるならメリスマ。第九でも2音〜3音のメリスマは合唱パートに頻繁に出現します。第九、今回の例では、後半に2音連続が各パートに連続で出てくる。声楽の古典的な記譜だと音符にスラーがかかるのが目印。



で、音の伸ばしのUTAわせ方、ですが、バラバラにノートを書いて、それぞれに伸ばす母音を割り当てていくのが基本かと思います。(参考UST 図上段)ボカロと違って長音符「ー」はありませんから。
「くーせーがープじー」 を 「くうせえがあプじい」 と歌わせる。
(単独音の人はこのあと母音結合をかけて、継るようにするステップがありますね)

ここではもう1つの方法を紹介します。ポルタメントカーブを目的外使用。
合唱ですから、派手なオーバーシュートやしゃくりを入れたりはしないでしょう。ということはポルタメント設定機能がアクビしてますね。使ってやりましょう。(UST 下段)
・伸ばす音の分、長い音でノートを置く(高さは「着地点」の音)
・前の音から途中の経過音に移り、保持してから、着地するようにピッチ線を書く。
文字通り「くーせーがープじー」と歌わせる感じです。(長音符は省略)五線譜記述だと、長前打音を使う感じかな? 装飾とは多分違いますけど。(参考譜つけときます。)

音はこちら。先ほどのプロトタイプと比べて下さい。

……テト(連続音)で、この長さだとあまり差が出ませんね。それでも Cherub のところは「けええるプ」と「けーーるプ」かで、「ええ」のような音ごとの軽いアクセントがつくかどうか、心持ち違うような気はします。(するだけ?)
第九終結部前の重唱みたいな長いメリスマをUTAわせたい人とか、シンガーの発声のクセでアクセントが付くのが気になる方は、試してもいいかも。

この他、シンガーが特有の方法を持っているなら、それを活用して下さい。

<楽譜(五線譜)でのメリスマ指定 ご存じの方はスキップ>
音符間のスラーについては先ほど言及しましたが、古典的な記譜での特徴はもう1つあります。今回のメリスマで五線譜では8分音符2音ずつの組が並んでますが、これが単独の(ハタを持った)8分音符2つではなく、符桁で結ばれていることにも注目下さい。これもメリスマ、音伸ばしの指定です。先ほどのChe-rubを8分3つと1つで歌うところ、伸ばす3つは符桁で、1つは単独のハタ持ちで記譜されています。ぱっと見でわかりやすい。

スラーが冗長なようですが、4分音符より長い(ハタを持てない)音符が混じったときには、スラーしかないですね。

声楽の記譜法としては、古典時代に定式化されたもののようです。
<ここまで、記譜法>

4-4 ここから先

UTAUでの外国語調声の説明はこれで一通り。この後は日本語での調声と変わりませんし、ホント、シンガーさん次第なので、プロトタイプができたところで、私からはひとまず区切りとします。

最後に、指揮者ミクナールPの方針を引用します。各参加者個別での作業と、MIX以降の指揮者作業との分担について。
--<<ここから>>--
MIX時に各waveの音量などつぶを揃えたり
全体的なダイナミクスはこの時に決定します。

MIX時に調整が困難なものには(やろうと思えばできますが)
発音、アクセント、ダイナミクスにおける音質の変化
ADSR的細かいエンベロープです。
これらを基本各自のボカロやUTAUでの調整項目と捉えています。

ダイナミクスに関しては物理的音量ではなく
それに伴う音質の変化の方が重要と考えています。

VELを変化させることで通常の音源は音質が変化しますが
ボカロやUTAUでは子音の立ち上がりなど音質というよりは
発音にとっての要素としてVELは重要な調整項目ですが
音量という面のVOLやexp情報などは大体大まかな感じで調整して頂き、発音における勢いや口の開け方による音質などの変化などに
注力して頂ければとおもいます。
--<< ここまで >>--
まさに、この調整こそがみなさん個々の努力のしどころ。その入口までの道程は頑張って平坦にしたつもりです。ぜひ、沢山の方にご参加いただきたい。優れた歌声がいろいろ集まってくるのがとても楽しみです。

ここまでお付き合いありがとうございました、ごきげんよう。
第九のステージでお会いしましょう。

ご質問、ツッコミなどありましたらご遠慮なく。続きの記事にさせていただくかもしれません。

おまけ

ものは試し、いつもの合唱団(SATB)を組んでみました。練習風景?

ソロがいないのも何かさびしいので、ウチのV1ボカロメンツ(LOLA×2, KAITO, LEON)に手伝ってもらってます。(小川P配布のVSQX=日・英=流し込み。高齢者なので音の歯抜けとか遅れあります)

文責:tajkey
twitter: @tajkey_kksn

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