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tajkeyさんの公開日記
08月22日
12:23
調声師さん絶賛大募集中『ボカロで第九をやっちゃおう』企画
UTAUでの参加をご検討中の方々への情報提供公開日記その3。

###お知らせ###
(2014/8/7)第九支援UTAU用midi再改訂しました。ご利用の際は再DLお願いします(小川P)
(2014/8/24)ちょっと補足追記(tajkey)
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(前)
(次)

第3回 どいちゅ語でUTAU

3 UTAUでのどいちゅ語調声の例

今回は、第九以外のいくつかのどいちゅ語の作品・作例を見ていただきます。
どっちかといえば、外国語調声に初めて挑戦しようという人向け。第九の調声実例を見たい人は、もう少しお待ち下さい。(数日中に上げると思う)次回、どいちゅ語でUTAわせる、の記事へどうぞ。

一応、前置き。こういうのはもっと上手い人に説明してほしいと切実に思うんですよ。でも、上手い人は結果で見せてくれるほうが有り難いのも確か。で、しゃしゃり出ました。改めて数えてみたら、私が30作近く作ってきたもののうち大体1/3が欧州語作品。未だ道遠しとはいえ、数だけは一応ある、ということで、御免被ります。

語学的なベース。ちょっと噛ったくらい、です。私の動画説明に時々獨逸語って書いてあるでしょ? 母語が日本語の人間が視覚情報で補いながら日本語ライブラリでやってるのが、旧制高校時代の語学だなぁとか思ってるわけですよ。ヴェッテンヴェルク・バンカランゲンの世界。(通じるのか?)

だから、この記事は体系的な説明というよりは一種の経験談。何かしらヒントを持ってってもらうなり、バカやってらあと笑っていただくなり、そんな感じで、どうぞ。

ま、お気楽に始めましょう。自分のは英語ライブラリじゃないし、とか思わないで。なるほど、英語ボカロさんたちやUTAU海外組(英語系)さん、発音は遥かにうまいけど、ドイツ語曲聴くとGermanだなあと思うことも多い。ドイツ語は彼/彼女らにも基本、外国語なんですよ。

※参考USTについて。
 一部を晒しますが、私は音量やニュアンスのコントロールはDAWへ持ち込んでからやる人なので、音量などはべた打ち状態です。(だって重ねてみないとわからないことが多すぎるんだもん!)子音の処理(付け足し、母音切り)や一部母音の発音の参考程度に見てください。波形表示モード(これ、便利)にしてありますので、こちらも音の切れ方などの参考に。

3-1 ドイツ語歌唱の例

まずは人声合唱曲行きましょう。リアルを目指すにせよ、機械歌唱の特徴を引き出すにせよ、クラシカという枠組の中では人声は一つの基準。例はいくらでもありますが、特徴的だな、と思ったのがテルツ少年合唱団のこちら。(こらこら、そこ、キワモノとか言わない。…ニコに上がってる「夜女」はちょっとその匂いがするけど、基本ガチの合唱団ですよ)

これ、ざっくり言えば、古典語、なんですね。舞台語って呼び方もある。お芝居とかでセリフを客席に通すための、日常語とは異なる発声。日本語のお芝居にも、そういうの、ありますよね。クラシックはマイクロフォンやアンプの発明以前からある音楽ですから、ホールでの演奏であればそれに応じた特徴的な発声があります。
ドイツ語だと、子音を強くはっきりと、rは巻き舌。ゴツゴツ感じられる程の強弱アクセントをつける。ヒゲ文字のドイツ語。これをもっと極端にしたのがと総統閣下の演説調。

もちろん、ご存じの通り、現代ドイツ語(口語)はもっと素直に流れます。
同じ「流浪の民(Zigeunerleben)」でも、例えばウィーン少年合唱団あたりは、現代語調で歌いますね。軽く聴ける。(参考:sm11614085)

で、第九。何せ1824年初演の、それこそ古典時代の曲です。指揮者、指導者次第で、古典語でも現代語でも歌われますが、今回は合唱指導を見る限り、発音は古典語風で行くようです。頭に入れときましょう。

3-2 調声目標…どこまでやるか

こちら↓をお聴き下さい。日本語の曲ですが、大体0'37"〜1'08"位にどいちゅ語歌唱あります。
(ここでは30秒でいいけど、機会があったら通して聴いてやってください。)

Mozartの「春への憧れ Sehnsucht nach dem Frühling」(KV596)ですね。
この合唱版の、もともとの編曲者の林光氏が1番と2番の間奏としてしれっと紛れ込ませたもの。これを「うっかり歌っちゃった」風にしれっと歌わせてみました。短い単語で切れ良く身軽に上がってっては、伸ばした言葉で滑りおりてくる。かわいい。跳ねるどいちゅ語ならでは、だと思いまして。

もとい。このシリーズでは、大体こんな感じ、までを目標にします。
こんな片言でも合唱にすると結構丸まってくれます。↓くらいには。

(未使用トラックから。強めの合唱エフェクトですが、集合合唱でも似た感じにはなる、と思うんだ)
※(蛇足)合唱に混じれば粗は削れるからあまり神経質になりなさんな、ってこと。合唱エフェクトを掛けてから提出、って意味じゃないですよ。



まずは、基本的な手法。経験者には分かりきったことですが、復習とまとめ。

見てお判りの通り、ノートを分割して子音などを置いているだけです。語末の子音は母音付の音を置いてエンベロープで母音カット。このとき、次の語との間隔が違和感にならない程度に位置調整したり、追加した子音の音量のばらつきを予め調整を入れたり。
あとは、必要に応じて音素の差し替えや伸ばす母音のノート分割。このあたりは日本語でも普通にやること。例えばテト連続音ではフレーズ頭に単独音が混じりますが、私は声質の統一や、入りのアタックコントロールのため、よく連続音音素に差替えています。このUSTでも先頭の「ヴぃ」は連続音の「e ヴぃ」に差し替えて、子音の前をカットしています。

ドイツ語特有の音。ウムラウト母音は近い音を探したり、パートごととかダブルトラックとかで別の音を歌わせて重ねたり。rは巻き舌指定。あと(この範囲にはないですが)語頭のf音に「ふ(Hu)」を使って弱かったらこっそり「ぷ(P)」を重ねるとか、「ふぃ」がfiに近いのでここから子音を転用したりしてます。こういうのは試行錯誤ですね。

ノートをどう分割するか、母音をどこまで伸ばすか、は、ケースバイケースで判断。ただし「ドイツ語では単語の頭は常にはっきりしている」という原則から逸脱しない限りで。例えば、UST内の doch の部分は原譜で2音符にかかっていて、スラー(メリスマ)がついてます。伸ばして「どーお(っ)ほ」かなあ、でも、短母音、歯切れも欲しい。「ど(っ)ほ」で行く。ほをノート先頭に置いて母音カット。このノートに上がっていくピッチ遷移と子音だけ残った感じに。

都度、こんな風にやってます。

第九では? 迷ったら大先達、小川Pさんの講座を見に行きましょう。

(余談)あ、調声とか発音、苦労ばっかじゃないですよ。アタックの硬さは単語同士の分離感に便利だし、日本語歌唱で嫌われるフレーズ末のぶつ切れ感だって、ドイツ語の「言い切り」には結構嵌まるし。あと、シンガーごとに違うと思いますが、テトは「ハ・ヒ・ホ」でドイツ語のch音に近いのが切り出せるので、巻舌音共々どいちゅ語で楽、なんてのも。

3-3 どこから始めるか

曲のどこから手をつけるか、ってのもありますが、それは好き好き。やってみようか、って最初のハードルをどう越えるか、どうくぐるかって話です。…ぶっちゃけ、キャラ愛でもいいんじゃね? って身も蓋もない結論に行くんですが。あ、もちろん、正攻法で行ける方はそちらで。

こちら↓。私の最初のどいちゅ語作品です。(以前にラテン語曲はやってますが)

歌芝居「魔笛」でパパゲーノとパパゲーナが紆余曲折の末、再会して「結婚しよう、子供をいっぱい作ろう」とはしゃぎまわる場面。自給自足カップルにおあつらえ向きだなーとか、なんとなく思っていた。折しもテトの日が近い。テッド誕も兼ねてドイツ語やらせてみようかな、とか。
斯くして、キャラありきでどいちゅ語への初挑戦が決まったのでした。(…テトの日には諸事情あって間に合いませんでしたけど。)

この曲の滅多やたらな高速歌唱、ほとんどマシンガンですね。言葉の意味を通すとか、そういうんじゃなくて庶民クラスの開けっぴろげな大はしゃぎそのものが出たらいいじゃないか? テトテッドのはっちゃけバカップル振りは、まあ目論見通りというか予想通りというか、結果の音に出たので、作者当人的には割に気に入ってます。発音ガガガでも。

第九は「カッコよく」とか「荘厳に」とか、そういう部分ごとの性格が割にはっきりしてます。それをお気にのキャラなり声で出してみたい、というのもいい切掛の一つです。好きで始めたら意外に捗ることもあるんじゃないでしょうか。


小鳩ちゃん、て言い回しがピンとこないので、動画画面上歌詞では「キメラ」にしてますが、あちらでは定番のイディオムなんでしょうな。

この曲は四分音符換算で224BPM、割に高速でして、そんなテンポの八分音符に二重母音だの語尾子音だのがいっぱい乗ってる。空耳させるしかないかな、と思って取り掛かったんですが、呆れたことに、テトは短い中に子音を全部突っ込ませた。空耳では欠落感が抜けなかったんです。さすがミクさんの高速歌唱(?)のコピーで鍛えられてきただけのことはあるな、と妙な感心をしつつ、必死て加えていきました。楽譜と見比べて、あー詰め込んだなーを感じていただければ。

今見るとmeinを「ま-aい-iん」と馬鹿正直に打ってたりするなぞ、いっぱいいっぱいだったんだなー感もあります。今ならこういう短いのは「ま iん」で後調整するし、その方が音が消えなかっただろうな、とは思います。でも、こんなのもやってみなくちゃ判らない。

(余談)他の方のを聴いている限りの印象ですが、これがフランス語曲だと、多分、空耳調声の方がいける。その代わりギチギチにイントネーションやら音量の大小やら弄ることになるでしょうけど。言語の特性に依存している部分は大きいです。曲そのものにも。

3-4 耳コピだっていいのよ

とはいっても、今さらドイツ語歌詞を一から読むのも、と言う方へ。

こちら↓。これ、歌詞は耳コピベースだそうです。調声はgonさん。調声済みustをお借りして、移調+αだけ私が弄って、自分のオケをくっつけたもの。

歌、うまいですね。変に文字に拘るよりいいかもしれない。音楽ですから。

第九の演奏は山ほど上がってますから、それをベースに自分に聞こえるように調声する、という手段はあると思います。ドイツ語、だいたいローマ字読みで行けますし、特殊読みも規則性がありますから、楽譜を追うのは楽。あと、聞こえるようにカナを振ってみる。

(この曲はUST公開なし。多少手を入れたとはいえ、基本、人様のUSTですので。ただ、音符1つを必要に応じて2〜3分割して音を入れていく、この基本は同じでした。)

3-5 アクセントとか強弱格とか

こちら↓。最初のホルン(序曲抜粋)はこの際すっ飛ばして、1'50"あたりからどうぞ。

この手のドイツ語曲の男声コーラスのアクセントの凄味をちょっとでも出してみたくて。正確には単語のアクセントとは別物の、強弱格というものらしいですが。詩とかに特有の調子。もう一つの調子である韻の方は普通に歌わせればそれなりに出ますが、こちらの強弱については、今ある歌声合成は一般には不得手かな。
でも、第九だと、テナーソロ・それに続く男性コーラスとか、その後のテーマ再現部にはこの手のアクセントが合いそうですよね。(遠い目)

この作のアクセントはUSTの編集ではなく、DAWで無茶を掛けて作りました。(で、後段のエフェクタがちりちり言ってます。低スペック御免。)そういう処理もあり、ということです。ちょっと横道ですが、今回のような企画でも、UTAUの出音にEQとかDELAYとかでそれなりに調整を掛けた上で提出というのは、調声の一環として、むしろありだと思います。もちろん全体のMIXに影響が出なさそうな範囲を見極めつつ、ですが。


gleichtの先頭子音gの前出しとか、auf(発音あぉフ)の二重母音au、音が短いのでaとoを直接クロスフェードさせているとか、そのあたりが現状、調声上は定番のテクっちゃテクですか。
あと「e」の伸ばし音ですが、ドイツ語実歌唱ではほとんど「i」(い)に近い音に転化します。ただ、ご存じのとおり、UTAUの「い」は手が付けられないくらい暴れることがあるので、ここでは「え」だけでやってます。カタカナ化は…大目に見てください。

おまけ。仮組みのプロトタイプ版↓。こんなんでも試行錯誤すれば、それなりに聴けるものに近付くんだというビフォーアフターの晒し。断っときますけど、失笑もんですよ。自分で「どこの仲良し同窓会だ」ってツッコミましたもの。

うん、私くらいのレベルだと、こんなところからごそごそごつごつ作り上げていくんです。だから、最初に音にしたものが期待通りでなくてもめげずにいろいろやってみたらいいと思うよ。

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というわけで、どいちゅ語にかこつけて、過去作を教材代りに供養した回でした。
次回は、実際に第九のごく一部分を調声してみます。

文責:tajkey
twitter: @tajkey_kksn

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